今日のニューウェーブ 第24回
Swoon / Prefab Sprout
(1984)
僕含め、音楽に親でも殺されたのか、自分でも一体何がしたいのかよく分からないまま血まなこになって古いアルバムを聴き漁っているいわば音楽オタクの人達に共通するのは、救いようのないほど酷い「あまのじゃく」だということ。
「みんなが好きな音楽以外に、もっと良い音楽がきっとあるはずだ!」と広大な海に一人で船を出した結果、誰も知らないところで勝手に溺れそうになっている孤独な海賊たち。
要するに学生時代に友達がいなかった人たち。
音楽の話は大好きですが、悲しいかな、あまのじゃくなだけに同じバンドを好きな人を見つけてもその人達とあまりつるもうとしません。
内心は大興奮しながら「ほーん、それ好きなんですね、僕も。」とか言ってみたり。なんてダサいんでしょう。
その上、「ここいいなぁ」とか「ここあんまりだなぁ」なんて考えながらテキパキ聴くことが習慣化するあまり、初めて聴く音楽にはテンションは上がりつつも、その良し悪しに関してはかなり冷静で、実際のところ、「おお!いい!」と思っても「さぁ他の良いバンドを探そう!」と興味が移ってしまうので、ひとつのバンドに心酔することがあまりない。
そんな悲しき海賊たちの多くが長い航海の末に辿り着き、ハマって抜けられなくなってしまう「沼バンド」がいくつかあり、そのひとつがこのプリファブ・スプラウトです。
この1984年のデビューアルバム以降、地道なリリースを続ける彼らは、最高のソングライターの1人とも評されるパディー・マクアルーン率いるイギリスのバンド。
このバンドの前では、あまのじゃくたちもみんな手を取り合い、固い握手をし、マイムマイムを踊ります。
プリファブ・スプラウトが音楽オタクを虜にする理由、
それは、曲ごとに色んなジャンルの音楽を聴かせてくれるからなのか…
コードやメロディや構成が凝っていてなかなか飽きがこないからなのか…
いやなにより、たぶんそれは…
パディー・マクアルーンさんも音楽オタクだから…
こちらからは以上です。