ニューヨークに行ってきた(続き)

だいぶ間を空けてしまいましたが旅行記の続きです。

 

 

ライブ当日。

僕は少し早めにホテルを出発して会場の近くにあるギター工房に立ち寄りました。

 

というのも、そこは今年の春に下北沢のお花見で知り合ったアメリカ人のニックが経営するRivingston Guitarsというお店。

 

ニックは突然の来訪をとても喜んでくれ、壁にズラッと掛けられた1950年代〜60年代の骨董品級なヴィンテージギターを次から次へと何本も弾かせてくれました。

 

雑談していると時間はあっという間に過ぎてしまって急いで会場へ。

 

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ここが会場のアーヴィングプラザ。

 

僕は会場前にウェインと話すことができるその名も「スーパーファンチケット」を買っていたので、会場よりも前に集合時間が設けられていました。

 

旅行の何ヶ月も前に英語で予約と支払いをしていたのでちゃんと入れるのか不安でしたが、無事に受付を済ませ、中へ入ると、なんと早速MC5の曲、Kick Out the Jamsのリハーサルの音が聴こえてきました。

 

聴き慣れたギターリフに誘われて階段を登り、物販の準備をするおばちゃんたちを避けてグングン進んで行くとその音はどんどん近くに。

 

高まる興奮を抑えながらフロアのドアに足を踏み入れ、ステージがギリギリ見えるか見えないかくらいのところまで近づいた時に、

 

「あれ、ここまで入ってきていいのか

な?」

 

と思い足を止めました。

 

事前に受け取っていたメールに会場の中での集合場所は特に書いてなかったので、僕は近くにいたタトゥーだらけのイカついスタッフに話しかけてみました。

 

「スーパーファンチケット持ってるんだけどどこで待ってればいいかな?」

 

「!? お前、どうやって入ってきた…」

 

「(入り口を指差して)あそこからだけど」

 

「いやまだオープンしてないから!外だよ外!笑」

 

 

今回ばかりは自分のうっかり癖を褒め讃えたい。

あのリフを2回も聴けたんだから。

 

とは言ってもちっちゃいジャパニーズがフラフラ入ってきたら怪しまれそうなものだけど…相当自信満々に入ってきたんだろうか…

 

タトゥーのスタッフにつまみ出され、実は外に出来ていた10人くらいの列の1番後ろに並ぶと、僕の後ろにもMC5のTシャツを着たおじさんたちが続々と後ろに並び始めました。

 

おじさんたちは、あの時のライブはああだった、こうだったと昔話に花を咲かせています。

 

今でこそ、家族を守るがっしりとした体格のおじさんたちも、今日は少年に見える…

 

定刻になると会場の中へ案内され、僕らはロビーで待つことに。

 

 

「〇〇年のライブは実は〇〇で…」

うんちくを披露するロン毛の少年。

 

「このレコードにサインしてもらうんだ!」

レコードを取り出し、大興奮する少年(おじさん)。

 

 

スタッフのお姉さんから注意事項のアナウンスの後、しばらくすると、奥からウェイン・クレーマーが!

 

 

もう70歳だというのに背筋はピンと真っ直ぐしていて、身のこなしはとても軽やか。

眼光は森の中で長く生き抜いてきたフクロウのように鋭く、そして暖かくもあります。

 

ソファーの背もたれの上にチョコンと座り、手を組むと、

「さあ質問タイムだ!誰から?」

と一言。

 

かっけぇ…

 

僕が圧倒されている間に次々に手を挙げ質問するファン達。

 

自分の拙い英語力で他のお客さんの大切な時間を邪魔するのも申し訳ないので、なんとなく聴き取れる質問と回答を楽しんでいました。

 

ひとしきり質問が終わり、

「他に質問ある?」

とウェインが言うと、

本当にスーパーファンチケットを買ったお客さんなのか信じられないくらい、離れたソファーでどっかりと足を組んで座っていたおばちゃんが、足を組んだまま、

 

現代社会についてあなたはどう思う?」

と言った。

 

いや、おばちゃんもかっけぇ…

 

放課後の校庭でMC5のかっこよさについてあれやこれやと話す男子に向けて「ただかっこよくたってダメよ!」といい放つ少女の姿が見えました。

 

 

そして真摯に答えるウェイン。

 

「現代は昔に比べて、あらゆる点で恵まれた時代だ。だからこそ僕らは学ぶべきだよ。この世界について、社会について、そして人間同士のコミュニケーションの仕方について。」

 

半世紀も、社会の動きをその鋭い眼光で見つめてきた人だけに凄まじい説得力。

 

おばちゃんもご満悦でした。

 

 

質問タイムが終わり、スタッフのお姉さんから、これからサイン会をする旨のアナウンスがあると、ウェインはすかさず、

 

「サイン会はするけど、ストラトキャスターのピックガードを何十枚も持ってこられてもサインしないからね!」

 

でたーーアメリカンジョークだー! 

 

 

階段に沿って続々と並ぶファンたち、おじさんとしゃべったりして気を紛らわしながらも、テンポよく列は進んでいっていよいよ自分の番に。

 

会場が結構うるさかったので、ウェインの耳元で

「日本から来ました!あなたのために!」

と言いました。

 

ウェインの耳元で!!!

信じられない!!!

 

その後のウェインとの会話は秘密!

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ライブはそれはもうひたすら最高で。

 

齢70にしてこんなエモーショナルなギター弾くおじいちゃんいるかという…

 

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ライブ前もライブ中も全く年齢を感じなかったけど、体には気をつけて、ずっと元気でいて欲しい。

 

そしてぜひぜひぜひぜひ日本へ!!