今日のニューウェーブ 第22回
99 Luftballons / Nena
(1984)
おそらく誰しも聴いたことがあるこの歌もニューウェーブ真っ只中の1984年発売でした。
“99Luftballons” (和訳すると99の赤い風船) はドイツ語詞にも関わらず全世界で大ヒットした曲です。
世界中のヒットチャートで1位を獲得したこの曲があまりに有名なので、一発屋のバンドと思われても仕方ないですが、このバンド、ネーナを始めドイツにはNeue Deutsche Welle(ノイエ・ドイチェ・ヴェレ)というパンク・ニューウェーブのドイツ版というべき流れがありました。
(このMVで使われているシンセサイザーも御多分に漏れず名機、”Prophet-5”ですね。)
当時のドイツはまだベルリンの壁が崩壊する前。政治的なメッセージを歌うパンクロックの精神性を受け継いだこの曲は反戦歌です。
風船は平和の象徴であり、なんの罪もなく日々を暮らす人々のこと。
赤は血の赤、警告の赤、はたまた共産主義の赤でしょうか。
夏の空、地平線の向こうにゆらゆらと飛んでいく99個の赤い風船を戦闘機が敵と間違えて撃つ、戦争なんてそんなくだらないもの、という強いメッセージにも関わらずとてもかわいらしく歌っています。
この時、僕はまだ生まれていませんが、ボーカル、Nenaの優しい歌声と、この印象的な歌詞は世界中の人達をハッとさせたことでしょう。
99というのは1999年、つまり未来の世界はどうなっているだろう、という意味合いもあったのだと思います。
未だ第二次世界大戦の尾を引いていたドイツだったからこそ生まれた歌だったのかもしれません。