今日のニューウェーブ 第21回

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Candy-O / The Cars

(1979)

 

ザ・カーズはアメリカ、ボストン出身のニューウェーブバンド。

シンセサイザーを大胆に取り入れたポップなサウンドで数々のヒットを飛ばしました。

 

当時はかなり売れていたはずなのに、今の日本では驚くほど知名度がないバンドの1つ…。

 

自由や夢の象徴として「車」を題材にした歌詞や曲名は数あれど、それをそのままバンド名にしちゃうところ、最高に好き。

 

左利きのギタリスト、エリオット・イーストンのロックンロールなギターリフに絡むシンセサイザーが何よりの持ち味です。

 

キーボーディストであるグレッグ・ハークスが使用するシンセサイザーの中でも、特に僕が好きなのは、ちょうどこの頃に発売されたSequential Circuits社の”Prophet-5”。

このブログのトップ画像でもあります。

 

野太く、重厚な、存在感のある音でYMOをはじめとして、過去記事でも書いたJAPANやPublic Image Ltdなど、多くのニューウェーブバンドに愛された名機です。

その中でも1番可愛く、ポップに使用したのはこのバンドじゃないでしょうか。

ただこの頃は発売して間もないのでこのアルバムではまだ使われてないのかも?

 

https://youtu.be/-JRXOgj0YUY

 

ロックにポップスに自由自在なバンドですが、このセカンドアルバムが僕の中では1番いいバランスです。

今日のニューウェーブ 第20回

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NORMAL / 一風堂

(1980)

 

邦楽のアルバムジャケットで1番好きかもしれない一枚。

三角ってなんておしゃれ。

 

このアルバムには入っていませんが、皆さんご存知、SHAZNAの「すみれSeptember Love」(中高生は知らないのかな…)はこの一風堂の楽曲のカバーです。

 

一風堂はこの後、風景画のような、しっとりとした音楽志向に変わっていきますが、このアルバムはとてもパンク魂あふれるファーストアルバム。

 

ギターボーカル、土屋昌巳氏はイギリスのニューウェーブバンド、JAPANのジャパンツアーのサポートギタリストも務めた日本が誇るギタリストであり、また最近ではTHE NOVEMBERSのアルバムプロデュースもされています。

 

キレッキレのエレキギターにヘンテコなシンセサイザーとシャウトはいかにも初期ニューウェーブ

 

YouTubeにはほとんど音源がないのですが、Apple Musicにはちゃんと入っています。

 

そういえば少し前に下北の飲み屋でスマブラ対決したロサンゼルスからの留学生の女の子もニューウェーブ好きで、土屋昌巳氏のレコードを買ってました。

 

「Masami Tsuchiya分かる?」って言うから耳を疑ったけど…

今日のニューウェーブ 第19回

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This Is What You Want... This Is What You Get / Public Image Ltd

(1984)

 

思えばこのアルバムは人生で初めて聴いたニューウェーブのアルバム。

 

中学2年の時にセックス・ピストルズのパンクロックに衝撃を受けたあと、僕は、ラモーンズやクラッシュ、ダムドなど他の有名なパンクバンドを聴かずに、セックス・ピストルズのボーカルであるジョン・ライドンがその後に始めたバンドと聞いてこのパブリック・イメージ・リミテッドのアルバムを渋谷のタワーレコードで買った。

 

しかもこの盤はよりによって4枚目のスタジオアルバム。

どうしてこれを借りたのかはよく思い出せないけど、たぶんジャケットにジョン・ライドンの顔が載ってたからだと思う。

 

渋谷から群馬の家に帰って、さぞかしカッコイイんだろうと思いコンポにCDを突っ込み、再生ボタン押すと、スピーカーから流れてきたのは尖ったセックス・ピストルズの音とは程遠いまあるくてガッチリとしたノリのいいビートだった。

 

割って入ってくるのは「ンアーーーーーん」、「イアーーーーーん」と粘っこい歌い方のジョン・ライドン

 

2曲目…3曲目…4曲目…

 

「全然カッコ良くねえ…」

 

最初、買うCDを間違えたと思ったけど、アルバムジャケットはどう考えてもジョン・ライドンの顔だから間違いない。

 

ふざけてるとしか思えないジョン・ライドンの声で

 

This Is What You Want...

(これが君の欲しいもの)

 

This Is What You Get...

(これが君の手に入れたもの)

 

と叫んでいて思わず床に叩きつけそうになった。

 

これが俺の欲しいもの??

これが俺の手に入れたもの???

 

そんな理解不能だったこのアルバムも、今こうして改めて聴くと素直にカッコいいと思える。

 

こういうのは本当に音楽だけだと思う。

 

ニンジンを食べられない子どもが大人になってからニンジン大好物になることがあり得る。

 

クラス全員ニンジンが嫌いで、自分だけニンジン大好物ということも。

 

食べられなかった最初のニンジン。

大切なアルバム。

 

https://youtu.be/96PCwD63iqQ

 

 

 

今日のニューウェーブ 第18回

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安全地帯Ⅲ〜抱きしめたい

 / 安全地帯

(1984)

 

玉置浩二率いるバンド、安全地帯は1973年結成。

彼らはインディーズ時代、バンド自らつくった地元、北海道のスタジオで連日7〜8時間、練習や楽曲制作とストイックな活動をしていました。

 

そこを訪ねたのが井上陽水

1981年、ツアーのバックバンドに抜擢され、晴れて上京しメジャーデビューへ。

 

このアルバムは1984年の3枚目。

元々、自分たちの力でやりたい放題に音楽をやっていただけに、根底は強固でディープなロックサウンドですが、親しみやすい、綺麗なメロディと歌詞なのでとても聴きやすい。

 

https://youtu.be/5tORrnVcSXU

 

というのも、彼らにロックだけでなく歌謡曲やポップスにも目を向けるようにとアドバイスしたのは他でもない井上陽水

 

超ディープな音楽ルーツをもちつつ、音楽業界で成功している陽水からのアドバイスだったからこそ、彼らの耳には届いたのではないでしょうか。

 

 

今日のニューウェーブ 第17回

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Ghost in the Machine / The Police

(1981)

 

ドラムのスチュアート・コープランド、ギターのアンディ・サマーズ、ベースボーカルのスティングが揃った時点で、ザ・ポリスは奇跡と言える。

 

たぶん、3人ともプレイヤーとしては個性的な部類に入る人達だけれど、この3人が絶妙なバランスでポリスというパッケージの中にはめ込まれているからこそ、ポップでありつつもトゲを失わない、誰にもマネできない音楽になったんだと思います。

 

彼らは元々、新人なパンクバンドとしてデビューし、あっという間にニューウェーブを代表する世界的なバンドとなりました。

ニューウェーブはパンクから生まれた音楽と散々書いてきましたが、ポリスに関して言えば、パンクは彼らの生み出す音楽のスパイスのうちの1つでしかない。

 

おそらく、もともと別々のバンドで別々の音楽をやっていた3人が集まっているポリスにとってはジャンルなんて瑣末なものなのだと思います。

 

このアルバムは、世界的な評価を前作で得てからリリースされた4枚目のスタジオアルバム。

3枚目が傑作となってしまっただけに期待も高く、焦りを感じざるを得ないタイミングで、全くブレない3人の落ち着きと気概が感じられます。

 

https://youtu.be/uYk2UiwWeBI

 

一番好きな曲!

今日のニューウェーブ 第16回

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Life’s Too Good / The Sugarcubes

(1988)

 

ビョークが在籍していたことでも有名な、アイスランド出身のバンド。

ビョークがいるのに、まさかのツインボーカル

(しかも奇声をあげたり、たまにラッパを吹くおじさん)

 

ニューウェーブと呼ぶには少し時代が後になりますが、透き通るコーラス・エフェクトや少しイカれた世界観はニューウェーブさながら。

 

この曲のサビでのビョークのシャウトを聴けば、その後世界に与える衝撃も頷けると思います。

 

https://youtu.be/69R_Uf57R0U

 

歌詞はどう考えても少女性愛の話で、

彼女はポケットにクモを入れていて…

と気持ち悪さと美しさが同居するビョークの世界観はもう出来上がっていたことが分かります。

 

正直、この曲以外、ビョークを楽しもうと思ったらヘンテコなインストの部分とか、ビョークに割って入ってくるおじさんとか、邪魔で仕方ないと思いますが、彼女を抜きにしてニューウェーブバンドとして見てもすごくかっこいいバンド。

今日のニューウェーブ 第15回

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Undercover / The Rolling Stones

(1983)

 

ローリングストーンズは60年代から活動し、80年代には既に大御所。

今まで書いてきたようなチャキチャキのニューウェーブバンドではありません。

 

しかしながら、人気絶頂の中で、彼らにとって新機軸である電子ドラムや過激なエフェクト処理を大きく取り入れたこのアルバムは、本人達の自己評価こそ低いらしいですが間違いなくニューウェーブの名盤。

 

これまで築き上げてきた「ストーンズらしさ」はそのままに、やすやすとニューウェーブの音楽に接近できてしまう凄みはローリングストーンズがこれほど長いあいだ愛される理由のひとつだと思います。

 

https://youtu.be/rr1B7zcH9oI

 

この時、ミック・ジャガーキース・リチャーズの中は最悪で、顔も合わせないほどだったらしい。

ただ、悲しいことにフロントマンが2人いるバンドで、2人の仲が微妙な時のアルバムは大体いい。

わざと仲悪くしようかな…