バイクまみれ 5日目

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早いもので今回は2段階のうち1段階最後の教習。

今日の教官は僧侶とニューカマーなおじさんの2人。もう分かるでしょという感じでビューンと先に行ってしまった。

 

こなれてきた運転でトコトコついて行き、坂道発進を教わった後、教習所の中の指示されたコースを全員でグルグルと周ることに。コースには一本橋にクランク、スラロームと今まで習ったことが目白押し。

 

これまでは適当でも良かったウィンカー操作や交差点での一時停止も今回からはちゃんとやるように言われ、いよいよ自分のバイクの事だけではなく周りの状況も見て運転しなくてはいけなくなった。

慣れないうちはどうしても手元を見てしまうので自信がないと目線を上げて運転するのはすごく難しい。

 

コースを何度も周っているうちにだんだんと脳みそと両手両足がくっついていって、気付くと何も考えなくても手足が動いているのが分かった。

ウィンカーの消し忘れやギアの落とし忘れを教官に指摘されながら身につくまで何度も繰り返し練習。

ある程度は自分のペースで進められるので、前が詰まった時に待ちながらアクセルの加減を確かめてみたり、前輪ブレーキは使わないで運転してみたりと前よりもリラックスして自由に練習できた。

 

運転の上手い下手が出てくるとしたらこの段階のような気がする。 進むタイミングも止まるタイミングも、もう自分で考えないといけないし、もし誰かが倒れてしまっても後ろの人が横をすり抜けていくだけ。

隣に常に教官が乗っている自動車教習と違いバイクは個人戦。どうしたら上手くいくかはある程度自分で考えないと一向に上手くならない。

 

そんな過酷な教習のなか、だんだん慣れてきた坂道発進で「いいよー上手い上手い」と声を掛けてくれる僧侶。

本当に僧侶だ…。

 

 

悪戦苦闘しながらスラロームをしていると、ニューカマーな方の教官に手本を見せてあげるから後ろに乗るかい?と言われた。

そりゃあさぞかし上手いんでしょうなぁと思いながら後ろに乗り、手慣れたアクセル操作で勢いよく発進したバイクに体を預けるとさすが歴戦のライディングテクニックは想像以上。グイグイと曲がりながらあり得ない程倒れこむ車体に無言で絶叫した。

 

スラロームはハンドルで曲がるんじゃない。バイクを寝かせて曲がるんだ!」

 

熱い指導をもらい、わかっちゃいるけどさぁ!と歯を食いしばってまた発進。

体育会系な1時間にサッカー部だった中学時代を思い出して胸が熱くなり、最後の時限だったのでバイクのタンクも熱くなっていて内股が焼けた。

熱いのはバイク、お前もか…

 

本当はこの後シュミレーション、AT教習を受けた後2段階へ上がるはずが、今日は僕含め全員追加教習になった。

 

追加教習にはお金もかからないし、どうせならもっとたくさん乗ってじっくり練習したい。

ガッカリするより先に「はい!」と元気の良い返事が10年ぶりくらいに出た。 

バイクまみれ 4日目

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今日はひたすら発進!

エンストしまくり2回もバイクを倒す始末…。今までで1番脳みそと体力を消耗しました。

 

教習所のバイクの両側にはエンジンガードというぶっとい金属のバーが付いていて何回倒しても全然壊れないようになっていますが、もしそれが自分バイクだったらその瞬間に修理代10万円以上。

卒業したら一回も倒す訳にはいかないので、むしろ教習所にいる内にさんざん倒して勉強した方が良いと言います。

 

とは言ってもガチャンと倒した時のショックは大きく、他の人達に出遅れる恥ずかしさを感じている暇もないまま、めちゃくちゃ重い車体を引き起こして次は失敗しないぞと跨ってはまたアクセルに手をかける…。

まさに男塾のような1時間でした。

 

自動車のマニュアル免許を持っている人なら分かると思いますが、MT車の発進はクラッチとアクセルの微妙な加減で行うので一口に発進といっても上手い下手に格段の差が出ます。

 

しかも不親切なことにクラッチもアクセルも握ったら握った分だけ、捻ったら捻った分だけ効くという訳ではなく、途中までは遊びで急に効き始めるところがあります。

しかもその具合が両手で違うので、よしっ良いぞと一瞬でも気を抜いたらあっという間にエンスト。バランスを崩してガチャン。

そんなことを何回も繰り返してようやく絶妙な加減が分かるようになってきたような、なってきていないような。まだそんな段階です。

 

例えばいつもより力強く発進して下さいと言われても、それはいつもよりアクセルをほんのちょっとだけ強く握ってクラッチをほんのちょっとだけ早くくっつけてというような加減で、ただでさえウィンカーを出して、右足のブレーキを緩めて、左右確認して、と忙しい中では頭がチンプンカンプン。

モタモタしていると遠くからメガホンで聞こえる教官の叱咤激励。

 

走り出してしまえば座ってるだけですがそれだけ発進は難しく、逆に発進が上手ければギアがよく分かっているということで発進は全部の基本だと痛感しました。

 

ギターなんて余裕じゃんとヘラヘラして初めてFのコードにぶち当たった時のような苦戦。

 

慣れれば無意識、慣れるまでは繰り返すしかない…何事もあせらずあきらめず、何回も何回も…

 

今日は新宿モーションでライブです!

バイクの話しましょう!🏍💨🇯🇵

バイクまみれ 3日目

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仕事終わりダッシュでバスに駆け込み3回目の教習へ。

トイレでスーツから急いで私服に着替え、まさにホンダ・エルシノアのこの販促広告みたいな感じに。

エルシノアかっこいい…。

 

今日の教官は爽やかなロン毛の兄さんだった。雰囲気はどこかパンク師匠に似ている。

 

最初に免許証を見せ鍵を受け取る時に名前を呼ばれ返事をしたら、顔から想像してた声と違うと驚かれた。

どうやらもっと高い声の人だと思われたらしい。

 

確かに顔より声が低いっていうのはよく言われる。

小学校高学年の時、みんなで昔の合唱コンクールの映像を見ようという会があり、ビデオの中で僕が歌っているのが声変わりする前でクラス全員に大爆笑されたトラウマを思い出した。

 

加えてポルノのハルイチに似てるらしい。

ギタリストという点では鋭い気がする。

 

隣にいた別の教官にサウダージ

と言われて苦笑いしかできなかった。

こういう時どう言うのが正解なんだ…

 

 

今日は軽く走った後ひたすらカーブ、カーブ、スラローム、カーブ、クランク、8の字、カーブ、カーブ、カーブ…

 

曲がると感じるけどやっぱりバイクめちゃくちゃ重い。

重いからちょっとよろけたりするのがすごく怖い。

でも曲がりながらそう思ってビビったら車体が倒れきらず、行きたい方向に曲がりきれなくなって外側にフワーっと膨らんでしまう。

 

何度も繰り返していると教官に曲がりながらブレーキをかけないように言われた。

スピードを落としたい気持ちをぐっとこらえ思い切って同じ速度のままゆっくり曲がりたい方向に体重をかけ、出口付近でアクセルをグッと開くと、バイクが自分で起き上がった。

 

バイクはスピードを上げないと車体が持ち上がらないから、カーブでは特にビビっちゃいけないみたいだ。

体を重力に任せて思い切り倒して、そのまま今度は遠心力に任せて起きる。

単純なようで難しいのは僕がまだバイクも自分も信用できてないからだった。

 

そこで教官の名言。

曲がるようにホンダが作ってるんだから曲がらせればいいだけ。

 

ホンダさんありがとう…。

バイクまみれ 2日目

 

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今日は前回のおさらいをしつつコースを周回。

 

教習が始まるのを10人くらいで待っていて、「この中で1番早くマスターしてやる!」と思ったら僕ともう1人を残して他全員は次の段階の人達だった。調子にのってた。

 

バイクにちょこんとまたがり横を見ると、隣の人は足がぺったり踵まで地面に着いていている…。せめて身長170cmは欲しかったな…。

 

 

2日目にして走りながらのギアチェンジ、坂、クランク、一本橋と内容満載で

もうすごいバイクで走ってる感じに。

カーブを曲がり、直線になってアクセルを開いた瞬間風がフアッっと吹いて気持ち良かった。早く思い通りに乗れるようになりたい。

 

 

バイクは自転車と違って右手が前輪ブレーキ、右足が後輪ブレーキなので、車体がまっすぐのまま右半身に力を掛けるのに全然慣れない。

 

しかも止まる時も右足は常にステップに乗せたまま。バイクめちゃ重くて足がギリギリなのに左足のつま先だけで着地せざるをえない。

本で読んだコツは視線を先に保ったまま、車体が止まってから足をそっと下に出すこと。ビビったら転びます。

 

走り出してからのギアチェンジってジーガチャン!と手早くやってるイメージがあるので同じようにやろうとしたら全然入らない。教官に操作を順番にやるように言われる。

 

よくよく考えるとクラッチ離してギア変えてクラッチくっつけるのってゆっくりだって別にできる訳で、全然早くやる必要ない。

カッコつけるのが1番危ない。

自分がクソアマだと言うことをちゃんと理解して、ゆっくりゆっくり一個ずつ一個ずつ…。

 

 

緊張をほぐしてくれる笑顔が優しい教官の安定感。

ヤンチャな教官もいるけど今日の教官は僧侶感がすごかった。

先導した時バイクが金斗雲に見えた。

これが本当のカッコいいライダーだなぁ。

 

バイクからギターに頭を切り替えてディスジャパの練習に向かいます。

バイクまみれ 1日目

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ブログのタイトルは「音楽まみれ」ですが、バイクの中型免許を取ることになり、せっかくなのでここに書いていこうと思います。

 

 

生まれてこの方、音楽以外の趣味はと訊かれて思いつくものが全くありませんでした。

映画もアニメもゲームも漫画も本も趣味と言えるほど詳しくないし、バイクも、イケイケのお兄さんや寂しいおじさんがこのパーツがどうのこうの言ってニヤニヤしながら乗るもので自分には全く無縁だと思っていました。

 

でも今年の4月ごろからバイクを目にする機会が増え、このバイクはカッコいいなぁとか、あのバイクはダサいなぁとか考えているうちに、どうも好みのバイクに出会ってしまいました。HONDAのVT250Fです。

 

ギターをカッコイイと思ったら弾きたいのと同じようにバイクをカッコイイと思ったら乗りたいと思ってしまうもので、

ただスマホの中の画像を見ているだけでは満足できず、6月頃に興味を持ち始めてからウズウズしつつも、本当に乗ろうかどうか2ヶ月悩みました。

 

というのも、人がバイクに乗らない理由はいくらでもあります。

危ない、雨に濡れる、荷物が乗らない、夏は暑い、冬は寒い、うるさい、疲れる。

ましてや僕の欲しいバイクは古い型なので、壊れる、パーツがない、直せる人が少ないなど、さらに乗らない理由は増えます。

バイクに乗るなんてバカです。

このスマートな時代に。

でもどうしてバイクに乗りたいと思うのか。

それが何かよく分からないまま、気づいたら教習所に入学していました。

 

きっと乗れば分かるはず。

 

 

今日は1日目、適性検査を終えたらトイレに行く時間もないままヘルメットにグローブ、胸と背中のプロテクター、肩当、肘当て、ゼッケンと完全装備に。

ズボンの裾は靴下の中にいれてみんなとてつもなくダサい格好になりました。

これも誰もが通った道。

矢沢永吉尾崎豊長渕剛も、どんなワルでも最初からクールでキマってるやつなんかいません。

炎天下の中、高校生からおじさんまで横並びになって対等に学びます。

 

チャイムが鳴ってからあれよあれよと言う間に倒れたバイクの引き起こしから取り回し、跨って操作方法とギアチェンジ、走り出しまで一気にやりました。

 

感想は、

 

バイクマジで重い。

 

本当でっかい冷蔵庫くらい重いです。

グラグラするでっかい冷蔵庫に跨ってバランスとってる感じ。

 

仮面ライダーでも何かのドラマでも、バイクがすごく軽そうに見えますが実際はとてつもなく重く、本気で起こそうとしてもびくともしないし、跨った状態からちょっとよろけただけで簡単に倒れて挟まれます。

 

でもこれがそのうち数十キロの速さで走るわけで、この重みがバイクに乗る責任の大きさというか、バイクに乗りたいなと軽く思う先に待ちうけてるもので。

まず根本的に筋トレしないと。

 

加えて、僕は身長164センチで、跨った状態で足が踵まで着きません。

走り出してからよろよろと止まる時にビビったら最後、片側だけに体重がかかって片足で支えきれずそのままビターン。他の教習生も転びまくり地獄絵図に。

 

教官もおそらく乗りたい気持ちをわざとそのままに乗らせて全員の心を折りにきてます。

訳がわからないままあっという間に終わったら汗でビチョビチョ。

 

心を折りに折ってようやく乗れるようになるんだたぶん…

 

浜田省吾を聴いて帰りました。

ディスジャパ結成まで②

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〜前回の続き

 

 

サークルに入ってから毎月のようにイベントが開催された。

いつの間にか松坂大輔は消えていた。

 

どんなサークルも同じだと思うけれど、新入生は最初は初めてのイベントに恐る恐る参加するので、その後サークルに誰が残っていくのかは読めないところがある。

今まで毎回参加していた人が大学内に他のグループを見つけてパタッと来なくなったり、時々しか来なかった人がいつの間にか主要メンバーになっていたりする。

 

僕には5歳上の姉がいて、年上の人と話すのは苦じゃなかったし、むしろ好きだったので、僕はすぐに部室に入り浸るようになり、1ヶ月後には先輩をないがしろにしてスマブラに熱中する程になっていた。

 

6月ごろに名古屋の大学との対抗戦のようなイベントがあった。基本的には運動部が参加するのだが、なぜか軽音楽サークルもその年から参加することになったらしい。そのライブは出演枠が決まっていて新入生は出られなかったので、ほとんどの新入生は見に来なかった。

 

僕はそんな感じで、もうここが自分の居場所だと舞い上がっていたので、1日目から1人で手伝いに参加して、もはや先輩にも君は友達が居ないんだねといじられていた。

 

大ホールの中1人で座ってライブを見ていると、後ろから新入生の集団がワイワイゾロゾロと階段を降りてきた。その先陣を切るリーダーが水元だった。

 

「きっとあいつが新入生の中心人物なんだ…」

友達も作らずに1人で来ているのが急に恥ずかしくなってバレないように顔を伏せた。

 

それからは普通に話すようになったけれど、水元のベースプレイは今ほど大人しくなく、真っ赤なジャガーベースを体の上の方で構えて、ダボダボのズボンでユラユラと弾いていたので相当怖かった。

正直、ディスジャパを結成するまで2人だけで話すことはほとんどと言っていいほどなく、未だに話が全然噛み合わない。仲が良い訳でも仲が悪いわけでもないけれど、たぶんお互いがお互い掴みどころがないと思っている。

 

そんな水元には意外にも求心力があり、2年後にサークルの世代交代で会長になった。

僕は自分が会長だと信じて疑いなく、会長と呼ばれた後に何を言おうか前日に考えていたくらいだったので水元が呼ばれた後も5分くらい信じていなかった。

あとで聞くとビックリしていたのは僕だけらしい。本当に掴みどころがない…。

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杉森さんと川村さんは2つ上の先輩で僕と水元が入った時には3年生だった。

2人とは僕がサークルに入ってすぐ下北沢の僕の部屋でしょっちゅう遊ぶようになっていて、朝までゲームをして次の日の講義は休む、みたいなダメな大学生の典型的な生活をしていた。

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一緒にコピーしたバンドもたぶん同学年より多いと思う。ユニコーンGang of fourZAZEN BOYSFUGAZIなどキリがない。

 

僕のいたサークルではオリジナル曲を演奏する場はなかったので、杉森さんは僕が入学した時にはすでにオリジナルのバンドを組んで、ライブハウスを借りてライブをしていた。

時々見に行っていたけれど、卒業の時期になってそのバンドは解散することになった。

 

その時、杉森さんがまたバンドを始めると言い始めて、ギターとして誘われた。

バンド名は…プロジェクトジャックナイフ(PJK)かディスイズジャパン(TIJ)。

満場一致でディスイズジャパンに決まった。

 

どうしてその時に杉森さんがディスイズジャパンと言ったのかはさっぱり分からない。ノンポリだし英語喋れないし愛国心も大してない。唯一言えるのはプロジェクトジャックナイフだけは嫌だったことだけ…

 

初ライブはとにかく無茶苦茶だった。やりたい事があり過ぎてズタズタな展開のうえギターは今の3倍くらい爆音。ウオーと叫んでジャンプ!最後は楽器を放り投げて終了。

 

でもよく考えるとサークルの時と何も変わってない。今も大して変わってない。

サークルでこの4人集まったらたぶんスピッツでもキリンジでも楽器放り投げている気がする。

 

 

おわり

 

 

 

 

ディスジャパ結成まで①

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8/3に僕がギターと時々ボーカルを務めるTHIS IS JAPANのnew mini Album    "DISTORTION"が発売されました。

前作は丁度2年前の8月、それからライブにライブを重ね、満を持してリリースした自信作です。

既にタワーレコードHMV、disk union、VILLAGE VANGUARD等に置かせていただいています。ぜひ聴いてみて下さい。

 

祝発売ということで今回はディスジャパ結成の時の話を。

前回の記事から1ヶ月…本当にやり出したことが続かない性格……

今シリーズはテンポよく書きたいです…

 

 

 

 

過去の記事から伝わる通り、僕は高校時代には、少なくとも音楽について気の合う友達が1人もいなかった。

当時読んでいたEYESCREAMという雑誌で特集して欲しい記事の募集があり、Sex Pistols/Public Image Limitedジョン・ライドン、と書いて応募して、その半年後くらいに本当に特集記事が出て大興奮しても、周りにジョン・ライドンを知っている人は1人もいなかったのでその興奮は誰にも話すことができなかったし、TSUTAYAの端で見つけたCDを聴いてこれいいな!と思っても、ニヤニヤしてはまた次のCDを探していた。

その時はそれが当たり前と思っていたけれど、きっと東京に行けば気の合う人がたくさんいるんだろうなと思って、進学は迷わず東京の大学を選んだ。

 

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入学してすぐサークルの勧誘イベントがあり、その期間中に学科の歓迎会もあった。

僕が入ったのは哲学科という変わったところだったので、他に比べて音楽好きは多かったのかもしれない。オリエンテーションで既に見つけていたディープパープル好きで松坂大輔似の大男とご飯を食べていると、向こうから先輩が2人現れた。

その先輩のうちの1人は、ドクターマーチンに膝が丸見えのダメージジーンズ、ラフな白いシャツにタータンチェックのネクタイ、金髪でロン毛と、まるでロックそのものを体現したような格好だった。(ディスジャパのメンバーではないです。)

 

なんかすごいぞと思いながらカートコバーンの話をしていると、明日勧誘のためのライブでジミヘンのコピーをするから見に来て欲しいという。

今思うとジミヘン好きなパンク師匠のお導きだったかもしれないが、その時はそんな事も気付かずにウキウキしながら翌日、松坂大輔と教えてもらった教室へと向かった。

 

華奢な僕を全く知らないジャンルに是が非でも勧誘しようとするムキムキの先輩達を掻き分けて階段をのぼり、小さな教室に入ると、時間を間違えたからか例のロックな先輩がGO!GO!7188のサンダーガールのギターソロを熱奏していた。

その先輩には後からジミヘンの時間に来なかったことをすごく咎められた。

 

ライブが終わった後、毎年恒例という花見に誘われ、先輩たちと話していると、どこからともなく泥酔したかなり年上のOBの人がやってきた。

「君はどんなバンドが好きなんだい?」そう訊かれてどう答えようかかなり迷った末に、僕は知らないと言われる不安を抑えてPublic Image Limitedですと答えた。

すると、

「高校生でPILを聴いてるなんて頭おかしいね。」

と言ってくれた。

頭おかしいはその時の僕には最高の褒め言葉だった。そのOBの先輩とはたった一言しか交わさなかったけれど、なぜか言いようのない安心感でいっぱいになった。

 

それから、他の軽音系のサークルすら見に行かずそのサークルに入る事を決めて、まだ入ってもいないのに翌日の勧誘ライブ2日目から、卒業するまで、全部のイベントに参加する事になる。

2009年の出来事。

 

長いので次回に続く…